無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

The Show Must Go On.

Dragon Ash Live Tour 2017 MAJESTIC
■2017/09/08@札幌ペニーレーン24

 新作『MAJESTIC』を引っ提げてのツアーなのだけど、実は札幌でのワンマン公演は2007年の「DEVELOP THE MUSIC」ツアー以降、10年ぶりなのだそうだ。アルバムで言うと『INDEPENDIENTE』の時だ。個人的にはフェスでステージを見たり、『MIXTURE』時のツアーを渋谷で見たりしていたので10年ぶりと聞いて驚いた。なんでそんなに間隔が空いたのかはわからないけど、いろいろと大人の事情があるのかもしれない。個人的には馬場さんの急逝後、KenKenがライブに参加してからは初めて見るDragon Ashのライブになる。KenKenは新作でも全面参加しているし、公式のプロフィールでもメンバーと同等の扱いになっているしほぼ正式メンバーと言ってもいいのだと思う。扱いとしてはあくまでもサポートメンバーのようだけど、それはたぶん馬場さんに対する敬意と配慮なのだと思う。
 アルバム『MAJESTIC』がそういうアルバムであったように、アグレッシブな勢いと温かい包容力が入り混じるライブだった。序盤の「Mix It Up」とマッドカプセルマーケッツのカバー(!)「Pulse」からの「光りの街」「Ode To Joy」という対照的な流れが象徴的だったと思う。元々Kjという人はメロディーを作る才能にあふれていて、人を感動させる抒情的な曲を多く作ってきた。その半面、DAの音楽性は、ミクスチャー、ラウドロックもあるわけで、双方がお互いを引き立たせる形で成り立っている。ライブでもそれが絶妙な押し引きになるのだ。そしてここにきてエモーショナルな曲は前述のように包容力を強く感じさせるものになってきた。それはデビューから20年経ちアラフォーになったKjが辿ってきた年輪と無関係ではないと思う。若い頃は勢いに任せて周囲とぶつかったりすることがあったかもしれないし上の世代から眉をひそめられることもあったかもしれない。しかしKjもDAもベテランの域に入ってきた今、かつての自分たちのような若い世代に向けて道を示すような貫録と余裕が感じられるのだ。
 もちろん、ライブそのものはライブハウスの熱さとあいまってかなり激しいものだった。しかし攻撃的なだけではない、笑顔と楽しさと光に満ち溢れたものだった。それはDAのバンドとしての歩みと積み上げてきたものの重さを感じさせるもので、昔からのファンほど感動的だったかもしれない。「静かな日々の階段を」なんかは、むしろ今の方が説得力が増している気がした。本編後半での「百合の咲く場所で」「Fantasista」の連続攻撃はヤバかった。そしてアンコールの「Viva la Revolution」「The Lily」は感動的だった。長い年月を経て、DAは音楽をやり続けること、そして聞き続けることの尊さを感じさせるバンドになったのだなと思った。終演後は流した汗をぬぐいながらそんな感慨に耽っていた。

■SET LIST
1.Majestic
2.Stardust
3.Mix It Up
4.Pulse
5.光りの街
6.Ode To Joy
7.Singin' In The Rain
8.花言葉
9.Circle
10.Headbang
11.Faceless
12.The Live
13.Beside You
14.静かな日々の階段を
15.Jump
16.百合の咲く場所で
17.Fantasista
18.A Hundred Emotions<アンコール>
19.Viva La Revolution
20.Snowscape
21.Lily

Majestic

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