無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ハルジオン

ハルジオン

ハルジオン

 バンプ・オブ・チキン、待望の新曲「ハルジオン」の感想文です。「天体観測」のをそのまま貼り付けてください。終わり。…ではさすがにアレだろうけど、基本的には同じことを歌っている。「天体観測」に限らず、「ダイヤモンド」や「グングニル」や「ランプ」だってそうだと思う。しかし、この曲を聞いているとひとつ気付いたことがある。というか、そうだと思っていたけども、はっきり分かってしまったことと言った方がいいか。
 バンプって、全然優しいバンドじゃない。
 道端で揺れるハルジオンでも胡散臭くて安っぽい宝の地図でも情熱のランプでも、向こうから手を差し伸べてそれを与えてくれるバンドじゃあない。聞いた人間が勝手に見つけなきゃいけない。能動的に自分から動かない人間は大事なものを忘れ、見失ったまま何百万光年も置き去りにされるままだ。「君を今動かすものは何?その位置は?その色は?」「知らない?分かんない?あっそう、じゃあ俺は先行くよ、バイバイ」ってなモンだ。「天体観測」で指数関数的に膨れ上がった周囲の状況に対して、彼らが出した回答がこれ。言ってみればふるいにかけようとしてる。お前らどうなんだ?と。そんな一方的な投げかけをしたところで、彼らが信頼を失うことがないのは、そこでふるい落とされた人間に対して後ろ髪引かれまくって涙を流しているのが分かってしまうからだ。とことん不器用で誠実なバンドだと思う。今さらだけれども。
 バンプの曲は、どんなに青臭かろうと「ああ、10年前にこれに出会ってればなあ」と思うことがない。幸せなことだと思う。あまりにも当然のように名曲。寡作なのはわかっているけども、そろそろアルバムを。