無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

明日のポップメイカー

SIX PACKS

SIX PACKS

 ここにきて俄然注目を集めているヘルマンのメジャーデビュー作。岡本洋平の書くメロディーがとにかく素晴らしい。3分間の音楽の中に喜怒哀楽全ての感情を詰め込んで一昼夜煮込みましたというくらい濃く、しかしくどくない見事なポップセンス。天性のメロディーメイカーだと思う。歌詞も、決して面白いわけではない自分たちの気分を上手く切り取って、それにツバ吐くのではなく笑い飛ばすユーモアと余裕があっていい。バンドの演奏も特別上手いわけではないけどその楽曲に負けない熱を放っている。ポップな割にアレンジ(特にギターのフレージング)は結構エキセントリックだったりして、なんだか初期のXTCが歌謡曲してますみたいな感じの面白いバンドだと思う。
 自分らの音楽に対する愛と信頼をストレートに表現した曲に「ブラックユーモア」と名前をつける、そんなひねくれたセンス。こうした悪意があればこそポップスを素直にポップスとして鳴らせるのだと思う。そしてその中からいつか極めて歌謡曲的な意味で世代のアンセムとなり得る名曲が生まれるような気がしてならない。すごくいいアルバムだと思うし、今後にも期待大。