無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

戦争にはちょっと反対さ。

ギター

ギター

 小西康陽が設立したレディメイド・インターナショナルから突如リリースされた曽我部恵一初のソロシングル。サニーデイ・サービス解散後、とかく注目を集めていた彼の第一歩がまず踏み出されたことを素直に喜びたい。
 「ギター」は、NYテロを歌ったいわば「反戦歌」と言うことになるのだろうが、そこまで真っ直ぐなメッセージがこめられているわけではない。あの衝撃は確かに湾岸戦争など比べ物にならないほど僕らの生活にも影を落としたけれども、結局テレビでしか見ていないという日本にいる僕達のリアリティがこの曲にはある。すごくいい曲だと思う。思えばサニーデイもそういうバンドだった。何かを声高に主張するでもなく、音楽的にシーンをひっくり返すようなエポックを演出したわけでもない。僕達が生きる毎日のリアルなBGMだった。この曲が今後の彼の音楽活動の指針となるのかどうかは分からない。個人的には、もう1曲の「月」の方が、ソングライターとしての彼の広がりが感じられて興味深い。新しい季節が始まりそうな予感。