無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

リヴァースの暴走は止まらない。

Maladroit

Maladroit

 昨年、奇跡の復活を遂げた我らがウィーザーだけども、ベースが脱退したり、この新作の発売やHPでの音源の配布をめぐってレコード会社と衝突したり、この1年は決して順調な道のりではなかったみたいだ。前作『グリーン・アルバム(id:magro:20010519#p1)』が昔からのコアなファンにはあまり評判が良くなかったということもあった。そんな中わずか1年で発表されたウィーザーの新作は、リヴァースの現在とこれからをビビッドに描き出した快作になった。ハードなリフと、性急なリズム、そして一撃必殺のメロディーはそのままに、こんな言葉が並んでいる。
 「もし君がこれを嫌いでも/僕は君を責められない/僕は傷ついてるんだ/だから復讐してやる」「連中は嘘をつくばかり/こんなゲーム楽しめるはずがない」…もう、ホント、わかりやすい人だよね。「デス・アンド・ディストラクション」も一見普通のラブソングに見えるけども、前作の評価に対するファンへの気持ちのようにもとれる。ただ、以前のリヴァースと違うのはここで「誰も僕のことなんかわかってくれないんだ」といって引きこもってしまうのではなくて、自分を信じてくれるファンと一緒に思う通りに行ってやるという開き直りがあることだ。もう、レコード会社もリヴァースの暴走に関してはほとんどノータッチらしい。一応、メジャーに属していながらウィーザーは完全インディペンデントな自主製作態勢になってしまっているらしい。しかし、リヴァースにとってみれば全てが自分の手の届く所にある今の状態の方がはるかに安心して音楽に向き合えるのだろう。それこそ、自分の部屋にいるような感覚で。やっぱりこの人は基本的には変わっていないのだ。だけど、そういう人が攻撃的になったときほどタチの悪いことはないんだよね。見ていて気持ちがいい、このストレートさは。