カンケリは楽しきかな。
- アーティスト: KICK THE CAN CREW,RHYMESTER,INNOSENCE
- 出版社/メーカー: イーストウエスト・ジャパン
- 発売日: 2002/02/14
- メディア: CD
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ヒップホップが優れた音楽表現だということを否定する人は今の世の中あまりいないだろう。で、優れたものは優れた手段でもって広く世の中に浸透するべきであると思うのもこれ当然のことである。僕自身、洋邦問わずヒップホップを歴史的に語れるほど広く追いかけてきたわけでは決してないけれども、昔からハードコアなヒップホップの人達の中にオーバーグラウンドに展開することに対して異を唱える人が多いような気がして、どうも違和感を覚えていた。アングラであることを良しとするメンタリティというのはそれが何であれどうも個人的には受け入れがたい。今は状況もだいぶ変わり、ヒップホップを日常に流れる音楽として自然に受け入れられるシーンなりマーケットが成熟してきたといえると思う。それはつまり老若男女全てに受け入れられ、認知される存在になってきたということ。もっと言えば「歌謡曲的」な位置に身を置く可能性があるということ。それを現在最先端で牽引しているのがリップ・スライムとこのキック・ザ・カン・クルーだと思う。
僕がヒップホップを聞くときの基準に、声を抜きにしてバックトラックだけでちゃんと聞けるかどうか、というのがひとつあるのだけど、その意味でもキックの曲はホントに素晴らしい。シーンがどうこう、というのよりもまず音楽として気持ちいいし、楽しいのだ。メランコリックなナンバーと、アッパーなパーティーチューンの対比もいい。曲の構成もどれもすごく分かりやすい。ストレートで入りやすくて、やってることは深い。いいアルバムだと思う。